【インタビュー 其の1】埼玉医科大学 総合医療センター様  WinActor®導入事例紹介

【インタビュー 其の1】埼玉医科大学 総合医療センター様 WinActor®導入事例紹介

病院でのRPA導入の苦労話や RPA をどのように検討し、導入に至ったのかについて、埼玉医科大学 総合医療センター様にインタビューしました。事例の他、他の医事業務での活用アイデアもお伺いしました。


病院入り口にて(左から 事務部医務課 中川さん、秋山さん、情報システム部 荒川さん)

※インタビューは病院内で実施したため、感染対策としてマスク着用での撮影となりました。

※インタビュアー:芝田 剛志(株式会社エデュース コンサルティング部)
学校専門のコンサルタントとして経営改善、業務改革のプロジェクト等に従事。
全国の学校に対して RPA を利用した業務改善を行っている。本実証実験では、対象業務のロボット作成支援を担当。

自動化した業務「コンビニ決済の入金消込作業」

1.RPA 導入以前に苦労されていた点

芝田:今回、「コンビニ払いの入金処理」業務の自動化をされましたが、まずは業務の内容と業務上の問題点についてお教えてください。

秋山:当院の入院費は原則後日コンビニ用紙を郵送する「後日精算」の運用となっています。「コンビニ払いの入金処理」業務は、入院された患者さんが入院費のお支払いを退院時に「当日精算」ではなく、「後日精算」を選択された場合、コンビニ支払い後の入金確認・処理をするという業務です。この処理業務が膨大になっていました。処理件数が多く、また手作業でおこなっているため入金処理漏れや金額間違いがあり、問題を抱えておりました。

画像:秋山さん 事務部医務課(入退院担当)
RPA で自動化した業務について語る秋山さん
※院内でのインタビューのため、マスクを着用しています

2.RPA 導入に至るまでの経緯

芝田:RPA を導入された経緯を教えてください。

荒川:以前別の会社から、「「RPA を病院で使ってみませんか?」という紹介が医務課にありました。当時、説明を受けて川越キャンパスの医務課として「医事業務でも使えそうだな」「業務の効率化につながるのではないか」と興味・関心が生まれました。毛呂山キャンパスでは既に経理課で WinActor®を導入しているという話があり、導入支援をされたエデュースさんに詳しく聞こうという事になりました。そこから川越キャンパスの医務課としても本格検討に入っていきました。

芝田:RPA についてエデュースから改めて紹介されましたが、どのような印象を受けましたか?

秋山:当時は「この業務で使えそうかも!」という印象は、実は全然なかったです(笑)。上司から「コンビニ決済の業務で使えるのでは」と言われるまでは、イメージが湧かなかったです。

芝田:RPA が処理を代行するというのは、イメージしにくいですよね。後日改めてお伺いして、実際に使用している医事システムの画面を確認しながら自動化対象業務の洗い出しや意見交換をさせていただきました。

秋山:そうですね。医事システムの画面や操作手順について一緒に確認していく中で、少しずつどの部分が自動化できるかイメージが持てました。

3.自動化した業務の費用対効果

芝田:「コンビニの入金処理」業務はどのくらいの頻度で発生する業務でしょうか?

秋山:月に 6 回の入金があります。1 回につき、50~200 件程度の処理が発生します。コンビニの入金処理は1つのシナリオで動いているのではなく、複数のシナリオで構成されています。まず、コンビニ入金されたデータに対して、「データをダウンロードし、入院と外来の仕分けをするロボット」が動き、そのあと別のシナリオ「入金処理をするロボット」が動いています。
1 か月間における RPA の稼働実績としては、データをダウンロードする作業で 6 回、入金処理をする作業で6 回の計 12 回となります。

芝田:RPA の導入によって、業務の省力化(時間の削減)は実現できましたか?

秋山:はい、かなり省力化ができたと思います。データ作成作業については 1 時間かけていましたが30分程度に短縮できました。入金処理作業については、2 時間かけていましたが、自身が関わる時間は5~10分に短縮できました。
私は RPA 実施後のチェックをしていますが、従来に比べて業務負担が軽くなりました。

芝田:データ作成業務を設計するにあたり工夫した点はありますでしょうか?

秋山:入院と外来は会計が別なので、1つの収納ごとに管理番号(ID)を作るようにして処理がスムーズに行えるように工夫しました。

芝田:なるほど。データ作りの部分をしっかり設計をしたことで、イメージ通りに RPA が動いたということですね。

秋山:はい、エラーもなく。いや、たまにエラーは出ますが…(笑)。

苦労話も笑顔で語る秋山さん

芝田:エラーは想定した運用と違った、イレギュラーケースが起因なのではと思いますが、どのような時に起きていますか?

秋山:イレギュラーになりますが、外来で患者さんが来られて、他の職員が患者IDを使用中に、RPAが入金処理をしようと患者IDを収納画面で開くとエラーになります。

これは、タイミングが重なったことにより発生するエラーと分かっています。それ以外には、すでに該当の収納が入金されていることや、書損されていることがあります。

4.他の業務での活用アイデア

芝田:(一連の業務の全部を自動化させていくというのは難しいと思いますが、)今後はどのような業務の自動化を検討されていますでしょうか?

秋山:健康保険証の有効期限切れとなった方のデータ抽出を考えています。具体的には、専用システムから元データを抽出後、データ加工するところまで自動化できれば業務負担が軽くなると思います。

芝田:健康保険証の期限切れ確認は、貴院だけでなくどの病院でも実施されている業務なのでしょうか?

秋山:はい。どの病院でも実施されていると思います。タイミングによっては大量に期限切れが発生する場合があります。

芝田:現在はどのくらい時間をかけているのでしょうか?また、自動化が実現できた場合には、どの程度の効果が見込めますか?

秋山:多いときは定時では終わらず 2 時間程度残業が発生することもあります。月1回の作業なので、回数は多くないですが、患者さんに対して早めに案内する必要があるため、より短時間で対応することが求められる業務となります。

芝田:その他に、RPA を活用できそうな業務はありますか?

秋山:日中に追加で退院のオーダーが入るケースがあり、その患者さんのリストを作成する業務が考えられます。
退院時に窓口に寄られる方と、寄らない方を分けています。
入院の手続き時に不備がなければ、後日精算の方はそのまま帰っていただくことができます。そこで窓口に寄っていただく方なのか、寄らなくてもよい方なのか、「誓約書、保険証のコピー、当日/後日精算なのか等の記載のある支払方法確認票などが入っている台帳」「会計伝票を入れる台帳」があり、それぞれを保管している引き出しから出して、退院時に窓口に寄って欲しい方なのか、寄らなくてもいい方なのか判断しています。

芝田:この追加退院にかかる業務はどれぐらいの頻度になるのでしょうか?

秋山:毎日の業務になります。追加退院が多いので、毎日、1 時間に 1 回実施しています。細目に実施しないと(原則後日精算のため)患者さんが帰られてしまいます。1 日に何回も実施する必要がある業務ですので、RPA で自動化できるとかなり助かりますね。

5.エデュースへの期待・要望

芝田:最後の質問として、エデュースに対して期待・要望することがあれば、お教えください。

秋山:いつもありがとうございます。迅速に質問を返していただき感謝しております。今は、なかなかロボットを作れていないのですが、自動化対象業務の検討でアドバイスいただけるとありがたいです。
具体的には、「業務の棚卸」とか「自動化対象業務の検討(その業務は自動化が出来そうとか)」といった相談をさせていただければなあと思います。

芝田:かしこまりました。本日は貴重なお話を有難うございました。

埼玉医科大学プロフィール

埼玉医科大学は、1892(明治 25)年、埼玉県入間郡毛呂村(現毛呂山町)に設立された毛呂病院を母体に、1972(昭和 47)年に創立されました。
以来 50 年、「すぐれた医療人の育成」に努めてまいりました。
新たな歴史を刻む次なる 50 年、埼玉医科大学は未来の医学、医療を切り拓きながら、すぐれた医療人を育て、地域の保健・医療・福祉に貢献してまいります。

この記事のライター

株式会社エデュース 営業部

学校専門の営業として、全国の学校に対してRPAの導入支援を行っている。

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