【インタビュー】学校法人東京薬科大学様 WinActor®導入事例紹介

【インタビュー】学校法人東京薬科大学様 WinActor®導入事例紹介


大学正門前にて[左から 原田さん(総務部 財務課長)、萩原さん(総務部 財務課主任)、山崎さん(総務部 財務課係長)、染野さん(総務部長)]

※インタビュアー:芝田 剛志(株式会社エデュース コンサルティング部)
学校専門のコンサルタントとして経営改善、業務改革のプロジェクト等に従事。
全国の学校に対して RPAを利用した業務改善を行っている。
本支援では対象業務のロボット作成を担当。

1.RPAの導入経緯

芝田:RPAの導入を検討した時期やきっかけについてお聞かせください。

萩原:2022年9月頃から定型業務の自動化について考えておりましたが、当時はまだRPAになじみがありませんでした。当初は入金関係の伝票の自動起票の実現に向けて現行システムのカスタマイズなどを検討していましたが、「RPAを使ったらどうだろうか?」という上席からのアドバイスが検討のきっかけになりました。

芝田:どのように情報収集をされたのでしょうか。

山崎:普段からお付き合いがありRPAを取り扱っている会社に問い合わせをして具体的に実現したい業務内容について相談をしました。また、自分でRPAについて調べる中で、他大学でも経理伝票の自動起票を実施した事例を見つけました。本学でも実施しようとしている事例でしたので導入に向けてプラス材料を見つけられたと思いました。また、当初予定していた現行システムのカスタマイズよりも、他業務でも使えるRPAの方が汎用性も高い(コストパフォーマンスが良い)という事もあり、一気に学内検討が進みました。

2.WinActor®を選んだ決め手

芝田:RPAは多くの製品が販売されています。その中でWinActor®を選定した理由をお聞かせください。

萩原:WinActor®が日本製であることが1つのポイントでした。RPA製品は海外製が多く、シナリオ作成画面が英語で表示されていると聞いていました。実際にWinActor®を使ってシナリオを作成していますが、メニュー表示が英語ですと作成ハードルが高くて自分では作れなかったかもしれないな、と思っています。

選定理由について語る萩原さん

芝田:民間企業への導入実績も含めますとWinActor®はRPA国内シェアNo.1ですので、安心してご利用いただけるのも強みですね。

萩原:純国産製品で多くの導入実績があるという安心感もあり、本学でもWinActor®を選定し、トライアル(2ヶ月間のお試し利用)の実施に至りました。

芝田:貴学は2023年11月からWinActor®トライアルを実施し、2024年1月から本格導入をされました。体験してみた感想をお聞かせください。

萩原:RPAによる自動化はとても効果が大きいと感じました。手作業の苦労から解放され、これまでのやり方にはもう戻れないという感想です。

山崎:私も同じ感想です。嘘偽りなく本当に助かっています。RPAにより、自動で会計伝票データが作られる光景を目の当たりにすることで、RPAのすごさを実感しています。

芝田:WinActor®の操作性についてはいかがでしょうか。

山崎:実際に触ってみて「思ったより難しいな」というのが正直な感想でした。”誰でも使える夢のツール”のようなイメージがありましたが、シナリオを作るために最低限マスターしておかなければならない知識やスキルがあることを知りました。そういった意味では、トライアル期間中にエデュースさんにシナリオ作りをお任せした戦略は正しかったと思います。特に初期においてゼロからシナリオを作りあげることは労力がかかりますので、この部分を無理して自分たちでやるよりは、プロにお任せしていち早く自動化の効果を実感することを重視しました。

芝田:そうですね。シナリオ作りについては、「①自分たちで作る」か「②代理店に任せる」のどちらかの方針に分かれると思います。他大学でも判断が分かれますが、貴学は「②代理店に任せる」方法を選択されました。結果、いち早くシナリオを作り上げ業務の自動化を軌道に乗せることができたと思います。

WinActor®の使用感について話す山崎さん

山崎:シナリオを作ることが目的ではなく、あくまでも業務の自動化・効率化が目的ですので、最短で実務に導入できる選択をしました。ですが、代理店に全てを任せることはせずに、自分たちでできることも残しています。基礎となるシナリオは代理店に依頼したとしても、その後の微調整については自分たちでできるようにしています。トライアルのスタート時に参加した操作研修会の内容は理解していますので、既に作られたシナリオのメンテナンス(微調整)は出来ています。何回かメンテナンスするうちにRPAに対して親しみが湧きまして、ちょっとだけRPAとお友だちになれたような気がしています。

3.自動化した業務について

芝田:ここからは、自動化した業務の内容について具体的にお伺いできればと思います。
導入して8ヶ月経過しましたが、現在までにどのような業務を自動化されましたか。

萩原:現時点(2024年8月)で、①入金伝票データ作成、②インターネットバンキングの口座別入金明細データダウンロード、③ポータルサイト(保証人向けサービス)における学納金振込依頼書PDFの作成・アップロードなどのシナリオがあります。

芝田:①入金伝票データ作成シナリオについて教えてください。今まではどのように入金業務の伝票起票をされていたのでしょうか。

萩原:今までは完全手作業でシステム入力しておりました。入力する会計システムには「類似作成機能」がありますので、毎月同じような入金がある伝票についてはこの機能を使用することが可能です。しかし手入力には変わりありません。毎月の伝票数は100を超える数がありますし、システム入力とチェックで担当者を分けた2人体制であることや、他の業務もありながら対応していましたので、毎月10日~2週間程度要していました。

山崎:それが今では2~3日でデータ作成、システム入力、チェックまで実施できるようになりました。これは大きな効果でした。担当の中でもボリュームのある業務を自動化できたことによって、さらなる業務改善に注力することができるようになりました。

芝田:業務を自動化するにあたって工夫した点はありますでしょうか。

萩原:当初は全ての入金パターンに対応して正確な伝票データを作成することは難しいと考えており、60~70%の自動化を目標としていましたが、現在は様々な工夫をしたことにより90%程度対応できています。工夫の一つとしては、ある程度の粒度で仮伝票データを作成した上で、仮データであることを後のチェックで抽出できる様に金額を「0円」に設定するシナリオを追加しました。

山崎:本質的には一意のパターンに分類していく事が大事だと思っていますが、逆に一意のパターンに分類できないけども、いくつかのパターンに絞らせることだけでも大きな効果はあると思います。後は人間が証憑書類を確認しながら仮伝票を修正することで、最小限の労力で正しく入金伝票の起票ができています。

芝田:続いて②インターネットバンキングの口座別入金明細データダウンロードシナリオについて教えてください。

萩原:インターネットバンキングにログインして、数多くの口座の入金明細をPDFでダウンロードするという単純作業を自動化しました。「単純作業の繰り返し」はRPAの得意分野ですので、RPAとの相性が良いタイプの業務だと思っています。

山崎:①入金伝票データ作成シナリオほどの業務量ではありませんが、今まで1時間程度要していた業務がRPAを起動した後は放っておける利便性を感じています。一口座ずつ選択してダウンロードする作業は、単純がゆえにヒューマンエラーが起こりうる可能性もあったのですが、RPAに任せれば正しいものが出力されるという安心感がありますので、自動化して良かったと思っています。

芝田:続いて③ポータルサイト(保証人向けサービス)における学納金振込依頼書PDFの作成・アップロードについて教えてください。

山崎:このシナリオは2025年度から予定している、ポータルサイトに学納金振込依頼書PDFのアップロードをするものです。対象が全在籍者ですので合計で約4,000件の電子掲示をアップロードする必要があります。これに伴い、個別PDFのダウンロードも必要になりました。これらを手作業で実施することは現実的ではなくポータルサイトの利用をあきらめていましたが、RPAを使うことで実現可能となり、来年度に向けての稼働準備を進めることができました。

4.コストパフォーマンスやサポートについて

芝田:コストパフォーマンスの観点からはいかがでしたか。現在は無料RPAツールも数多くある中で、有料(年間ライセンス料+サポート料)の製品を選択いただきました。自動化により削減された時間と年間コストとの比較はいかがでしょうか。

萩原:冒頭でお話ししましたが、当初は現行システムのカスタマイズなどを検討しておりましたので、その費用と比較するとRPA導入にかかるコストはそれほどネックとなりませんでした。またRPAは汎用性が高く利用用途が広いので、他業務でも自動化することを前提にしていたこともあり、とてもリーズナブルな製品だと判断しています。

コストパフォーマンスについて語る萩原さん

山崎:担当者としては「安いRPA製品を導入したけども、品質が良くなくて徐々に利用しなくなる。」という事態に陥るよりも、年間コストはかかるけども使いやすい製品を選択したいと考えておりました。

芝田:エデュースのサポートについてはいかがでしょうか。

萩原: 製品の選定だけでなく、代理店のサポートも重要になると考えておりました。今回のWinActor®導入を支援いただく中で、やはりプロの方のサポートは必須だと感じました。その点において、これまで多くの大学にWinActor®を導入されているエデュースさんは信頼しておりました。

芝田:ありがとうございます。エデュースはサポートを重視しておりますので、その点を評価いただき大変うれしく思います。サポートについては、「チケット制(1チケットで技術者を1人日稼働させてシナリオ作成支援や操作教育などを行う)」を採用しておりますが、使い勝手はいかがでしょうか。

萩原:チケット制には大きなメリットを感じます。何種類かシナリオ作成支援をお願いしてきましたが、当初の想定より早い工数で作成いただきました。その場合には余った工数を活用して、既存シナリオへの機能追加や他業務のシナリオ作りができました。そういう意味で柔軟性が高く利用しやすいサポート体制だと感じています。

5.導入検討中の学校へのアドバイス

芝田:最後になりますが、現在RPA導入を検討されている学校に向けてアドバイスをお願いします。

萩原:今回自動化した入金伝票データ作成業務を例にしますと、事前の業務整理・改善の効果も大きかったと思います。どの大学にも入金業務は存在します。本学は口座ごとに役割を分けていたこともあり数多くの口座を管理しておりましたが、RPA導入にあたり口座の管理方法を見直し、半分以下の口座数に絞りました。その状態にした後にRPAを導入したことで、入金業務全体のスリム化が実現できました。

芝田:これまでの業務のやり方を見直すことはとても重要だと思います。非効率な状態のままRPAで自動化したとしても、あくまでも「手作業の代替」に留まってしまいます。RPA導入をきっかけに業務自体の見直しができたことが、大きな成果ですね。

山崎:検討している学校に向けてということですと、漠然とした状態でRPAを導入しようとせずに、自動化(効率化)したい業務が明確に整理されていることが前提となります。あとは、どのようにシナリオを作り上げるかについては、代理店の方々のサポートを上手に活用することがスムーズな導入への近道だと思います。

導入検討する際のポイントを話す山崎さん

萩原:まずはプロに相談、みたいな感じですかね。作成いただいたシナリオを見る事で、ノード(部品)の特徴や使いどころを理解することができました。シナリオ作りにハードルを感じて導入を迷っている学校がいらしたら、プロのサポートを活用することも検討するとよいと思います。

【学校法人東京薬科大学 プロフィール】
東京薬科大学は、私立で最初の薬学部と、日本で初めての生命科学部を併せ持つ大学です。
両学部ともに建学の精神、大学の理念に基づき、多彩な実験や研究活動を通じて、学生が自ら考える力を伸ばすことを教育の基本方針として、
高度な専門知識と技術だけでなく、優れた倫理観も兼ね備えた人材を育成することに大きな力を注いでいます。

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