【インタビュー 其の2】埼玉医科大学    総合医療センター様    WinActor®導入事例紹介

【インタビュー 其の2】埼玉医科大学 総合医療センター様 WinActor®導入事例紹介

病院でのRPA導入の苦労話や、RPA の導入効果など、埼玉医科大学 総合医療センター様にインタビューしました。医務課・入退院係 秋山 さんに続き、医務課・統計担当 中川 さんと情報システム部 荒川 さんへのインタビュー記事となります。


左から 情報システム部 荒川さん、事務部医務課 中川さん、秋山さん

※インタビューは皆様同一日で実施しました。病院内で実施したため、感染対策としてマスク着用での撮影となりました。

自動化した業務「月次統計業務」

1.RPA 導入前に苦労されていた点

芝田:統計担当の中川様へのインタビューになります。今回 RPA で自動化した業務で、自動化前の問題点や手がかかっていた箇所をお教えいただけますでしょうか?

中川:私が担当している統計業務について、業務の標準化が難しいと感じておりました。問題点といたしましては、様々なデータを抽出する際に膨大な時間を要することから、ロボットが長時間待機できるのか、また、日付や時間を取得することがシステム上可能なのか、疑問でした。

統計の具体的な作業としては、院内のシステムから Excel にデータを出力し、加工しています。Microsoft の Office を使用することが多く、定型的な業務は VBAを用いてある程度は既に自動化できていました。しかし、医務課では医事システムや電子カルテなどの様々なシステムを使用するため、横断的に自動化するということができていませんでした。
別の代理店から RPA の説明を受けた際に、WinActor®を用いて電子カルテシステムを絡めた業務の自動化しているのを拝見し、自分の中で可能性を感じていました。
その後、エデュースからの説明でもシステムを跨いだ処理の自動化が可能ということだったので、色々できそうだなと思いました。

画像:中川さん 事務部医務課(統計担当)
RPA で自動化した業務について語る中川さん

2.自動化した業務の費用対効果

芝田:今回、「月次統計」業務の自動化をされましたが、RPA の導入によって、業務の省力化(時間の削減)は実現できましたか?

中川:「月次統計業務」は月に1回発生する業務です。複数人で担当しており、トータルで 10 数時間かかるため、どうしても残業せざるを得ない状況でした。そこで WinActor®を使って、夜間や自分の業務時間外に稼働させることで残業時間を0に近づけることができ、年間で 約150 時間、月換算すると 約12 時間の削減が見込めました。
当初は、1つのシナリオで『全行程』を実施する予定でしたが、医事システムの問題もあり、現在はシナリオを2つに分割し、夜間に1つめのシナリオを実行し、2つめのシナリオを早朝に稼働するように工夫しています。また、オンライン請求が確定するまでの時間は流動的であるため、現状は、1つ目のシナリオを手動で実行しておりますが、今後はオンライン請求が確定する時間を感知する仕組みを作り、シナリオの自動起動を目指しています。

3.RPA 導入で苦労した点

芝田:ロボットの動きでうまくいかなかった点や想定と違った点はありましたか?ご苦労されたことがあれば教えてください。

中川:月次統計業務以外で医事システム操作の自動化にチャレンジしましたが、同様の動作であっても動かなかったり、予期せぬところでエラーが発生したりと、思うようにシナリオが作成できないケースが出てきました。また、シナリオの作成が完了し、問題なく動いていても、次の日は動かないなんてこともありました。

芝田:(医科系大学様以外の業務システムの自動化のお手伝いをしたのですが)私も医事システムの自動操作を試しましたが、医療系のシステムは一般のシステムとは異なりセキュリティレベルが高く、ロボットなどによる自動操作を許可しないよう制御がかけられていることが多いように感じました。

4.他の業務での活用アイデア

芝田: 今後、RPA を活用できそうな業務は何かありますか?

中川:新規に入院する患者さんの入院歴を確認する業務の自動化を検討しています。
毎日、昨日の新規入院患者さん全員の入院歴を確認し、必要に応じて入院歴の変更を行っています。

芝田:この業務の自動化が実現できた場合には、どのくらい効果がありそうでしょうか。

中川:入院患者さんの数に依存しますが、毎日 10 分~20 分程度の削減効果があると思います。

中川:その他の業務として、入院患者さん全員に、せん妄のリスク因子チェックシートが作成されているかの確認を行っています。

これも毎日の業務で、チェックシートの確認だけであれば 15 分程度ですが、会計入力も実施する場合はさらに時間がかかります。

芝田:1回の業務時間は短くても、毎朝必ず実施する業務であることや、忙しい朝の時間帯に実施する業務ですので、RPA に任せることで業務の効率化ができると良いですね。

5.ロボットの管理方法

芝田:これまで多くのシナリオを作成されていますが、各シナリオの管理はどのようにされていますか?

荒川:総合医療センターの医務課では RPA に関するガイドラインを設けています。

中川:新しくシナリオを作るときは、申請書を作成し、主任以上の役職者が集まる「代表者会議」で承認を得てから作成することとしています。承認後、実際にシナリオを作成して動作検証や自動化の効果を報告して本稼働という運用にしています。また、緊急でシナリオの作成が必要な場合は、管理職以上の承認を得た上で作成し、直近の代表者会議で正式に承認を得ることとなっております。
これは野良ロボットを生まない仕組みにもなっています。加えて、センシティブな情報を取り扱う医療機関のシステムにかかわる部分ですので、無許可のシナリオが稼働するのを防ぐことはもちろんですが、そもそも、ロボットで自動化して良い業務なのか、という視点も含めて確認しています。

芝田:ロボットの管理はエデュースも推奨していますが、「ロボットで自動化して良い業務なのか」についての評価・承認の仕組みを設けられているのですね。

画像:左から 中川さん、情報システム部 荒川さん
現場部署と支援部署がきちんと連携されている様子が伺えました。

6.今後の展望

芝田:今後、どのように RPA を学内に展開されていく予定でしょうか?

荒川:今回は医務課向けにRPA を導入しましたが、今後は、医師や看護師といった多職種向けに電子カルテ業務についても広げていけないかと考えています。

画像:荒川さん 情報システム部
RPA の今後の展望を語る荒川さん

芝田:具体的な想定時期はありますか?

荒川:電子カルテにRPAを導入するために、まずは、診療録としてRPAで入力を行うこと自体に問題が無いか、どの範囲については、RPAで入力を行うことができるか等を十分に検討していくことが必要です。導入することができそうであれば、時期についても検討していきたいと考えています。
電子カルテの入力作業も増えており、電子カルテ業務にRPAを導入することができれば、コピー&ペースト等もうまく使いながら、医師を始めとする入力業務負担を軽減していけれるのではないかと考えており、提案していきたいと思っています。

芝田:意見を吸い上げるような場があるのでしょうか。

荒川:吸い上げる場というのは難しいかもしれませんが、電子カルテ運用・改善委員会がありますので、要望を伺ったりしながら広げることができれば良いなと考えています。

芝田:なかなか医師がシナリオを作ることはないので、その際は情報システム部が支援するのでしょうか?

荒川:はい。そのようになると考えています。

7.エデュースへの期待・要望

芝田:最後の質問として、中川さんからエデュースに対して期待・要望することがあれば、お教えください。

中川:今もやっていただいておりますが、シナリオ構築する中で分からないことも発生するので、WinActor®を理解している方に直接相談できる体制はとても有難いです。つまずいたときに気軽に聞けるので、引き続きサポートしていただければと思います。

芝田:本日は貴重なお話を有難うございました。

埼玉医科大学プロフィール

埼玉医科大学は、1892(明治 25)年、埼玉県入間郡毛呂村(現毛呂山町)に設立された毛呂病院を母体に、1972(昭和 47)年に創立されました。
以来 50 年、「すぐれた医療人の育成」に努めてまいりました。
新たな歴史を刻む次なる 50 年、埼玉医科大学は未来の医学、医療を切り拓きながら、すぐれた医療人を育て、地域の保健・医療・福祉に貢献してまいります。

この記事のライター

株式会社エデュース 営業部

学校専門の営業として、全国の学校に対してRPAの導入支援を行っている。

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